ハラール取引:シャリーアに準拠した仮想通貨(暗号資産)取引の基本戦略
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仮想通貨(暗号資産)市場の成長に伴い、信仰を守りつつ取引を行うためのハラール(イスラム法で許されている)取引戦略を求めるイスラム教徒のトレーダーが増加しています。イスラム教の教義に背くことなく、活気あふれる仮想通貨の世界に参加するには、ハラール取引の原則を理解する必要があります。
この記事では、ハラール取引の基本的な構造と仕組みを解説し、シャリーア(イスラム法)に準拠した取引の実践的戦略を紹介します。このような知識があれば、信仰を損なうことなく、エキサイティングな仮想通貨の世界に安心して参加できます。
この記事のポイント:
仮想通貨のハラール取引では、イスラム金融の原則に従って、利息(リバー)、過度の不確実性(ガラル)、非倫理的な業種への投資を回避し、すべての取引がシャリーア法に準拠するよう徹底されています。
イスラム教徒のトレーダーが活用できるハラール取引戦略には、デイトレード、スイングトレード、スキャルピング、シャリーア準拠の仮想通貨への投資など、さまざまな種類があります。各戦略ではイスラムの価値観が尊重されており、倫理的な投資を重視し、投機的リスクが軽減されています。
成長を続ける仮想通貨市場においてハラール取引のプラットフォームやリソースを活用することで、安心して取引を行い、信仰を損なうことなく資産を形成できます。
ハラール取引とは?
ハラール取引とは、イスラム法(シャリーア)に準拠した方法で仮想通貨などの資産を取引することです。この取引では、利息(リバー)、過剰なリスク(ガラル)、非倫理的な投資の回避が求められます。
ハラール取引の仕組み
仮想通貨のハラール取引とは、クルアーン、スンナ、ハディースに規定されるイスラム教の教義に沿ったデジタル資産の取引を指します。神が預言者ムハンマド(ﷺ)に伝えた言葉が集録されたクルアーンには、金融取引に関するものも含め、倫理的行動についての基本的な指針が示されています。ハディースはムハンマドの言行録で、スンナはムハンマドや信徒の範例を指します。
イスラム金融の中核を成すのは、以下の4つの重要な概念です。
リバー:高利貸しまたは利息を指し、イスラム教では厳格に禁止されています。利息は、いかなる形態であっても、ハラーム(禁止行為)と見なされます。
ガラル:契約における過度の不確実性またはリスクを意味します。デリバティブ投資や投機性の高い投資は推奨されません。
マイシール:ギャンブルや賭博はこのカテゴリーに該当します。予測不可能な結果に賭けることは禁止されています。
ハラームな収益源:禁止行為(アルコールや豚肉製品の消費など)から利益を得ることは認められません。
これらの概念は仮想通貨取引にどのような影響を及ぼすでしょうか?
仮想通貨取引がハラールと見なされるには、以下の原則に従う必要があります。
無利息:ハラール取引では、いかなる形の利息(リバー)も禁止されます。つまり、借入や貸付を利息付きで行ったり、預金で利息を得たりしてはなりません。投資家は、仮想通貨の保有に対して利息を提供するプラットフォームは避ける必要があります。また、投資収益拡大のための資金借入を伴うことが多いマージン取引も利用してはなりません。
過度の不確実性の回避:取引は明確で透明性が高くなければならず、投機性の高い投資は避けるべきです。すべての条件が明確に定められ、関係者全員が同意する必要があります。したがって、先物やデリバティブは、投機的な性質や過度のリスクが生じる可能性があるため、多くの場合でハラームと見なされます。
倫理的投資:投資はハラール原則に沿って行う必要があります。つまり、投資対象にできるのは、アルコール業界、ギャンブル業界、豚肉の消費などとは無関係のプロジェクトのみです。収益源も認められているものに限られます。たとえば、利息付きのレンディングから利益を得る分散型金融(DeFi)プラットフォームは、ハラールとは見なされません。一方、利益分配やサービス手数料によって利益を得るプラットフォームは、ハラールの基準を満たしている可能性があります。
損益の分配:ハラール投資では、利息を得る代わりに、利益分配契約を締結したり、企業の株式を取得したりする場合が一般的です。これにより、すべての当事者間で公正にリスクが配分されるようにします。
資産の裏付け:投資対象は、実体のある固有の価値に基づいていなければなりません。この原則が求めているのは、仮想通貨が単なる投機対象ではなく、コモディティやサービスなどの実体のある経済活動や資産と結び付いていることです。仮想通貨が金や不動産などの実物資産に裏付けられている場合、安定性が高まるため、デジタル通貨に付き物の投機性を軽減できます。対照的に、実物資産による裏付けのない仮想通貨は、投機性があるためハラームと見なされる可能性があります。
これらの原則を指針とすることで、信仰を守りつつ倫理的に仮想通貨投資を行えます。Bybit(バイビット)を含む複数のプラットフォームや証券会社では、これらの原則に沿ったハラール準拠の取引アカウントを提供しています。多くの場合、そのようなプラットフォームはシャリーア委員会や学者による監督を受けており、すべての取引活動がイスラム法に準拠するよう徹底しているため、イスラム教徒のトレーダーも安心して仮想通貨の世界に参加できます。
ハラール取引を行う前に留意すべき重要事項
仮想通貨市場でハラール取引を行う前に、以下の重要事項を踏まえて、お客様の投資がイスラム教の教義に沿っていることを確認してください。
資産の裏付け:投資対象の仮想通貨にコモディティや不動産などの有形資産の裏付けがあることを確認してください。これにより、投資に固有の価値があることが明らかになり、倫理的で着実な取引を求めるイスラム教の教義への準拠に役立ちます。
無利息取引:マージン取引や利息付きアカウントを含め、いかなる形態であろうと、利息(リバー)が生じる取引を回避してください。ハラール取引では、透明性が高く、利息が生じない方法で利益を得なければなりません。
KYC/AMLの遵守:本人確認(KYC)およびマネーロンダリング対策(AML)の規制を遵守している仮想通貨とプラットフォームを選択してください。これにより投資の透明性を高め、お客様の投資が違法行為の助長につながらないようにします。
プラットフォームの評判:ハラール準拠の取引を行えるという評判が確立したプラットフォームを選択してください。この点については、イスラム教徒の取引コミュニティにおける評価が高いかどうかを有益な指針にできます。
仮想通貨の目的:イスラム金融に特化した通貨、または明確な倫理的目的のある通貨を選んでください。このような通貨はハラールと見なされる可能性が高くなります。
倫理的投資:イスラムの価値観に合致する企業や仮想通貨プロジェクトに投資してください。イスラム法で禁じられているアルコール、ギャンブル、売春、豚肉製品に関連する業種への投資は避ける必要があります。
ボラティリティ:過剰なリスク(ガラル)や投機(マイシール)を避けるため、ステーブルコインやボラティリティの低い仮想通貨への投資を検討してください。これにより、イスラム金融において回避するべき、投機性の高い取引に関与する可能性を減らせます。
学者との相談:疑問点がある場合は、イスラム学者やシャリーア法に精通したファイナンシャルアドバイザーに助言を求め、確実にハラール取引をできるようにしてください。
ハラール取引と通常の仮想通貨取引の比較
ハラール取引と通常の仮想通貨取引には類似点もありますが異なる点も存在します。特にイスラム教の教義の遵守に関して大きな違いがあります。
類似点
市場メカニズム:ハラール取引と通常の仮想通貨取引は、同じ仮想通貨市場で行われます。類似したプラットフォームや技術を使用して、デジタル資産の売買や取引を行います。
利益を生む可能性:どちらの取引も、戦略的な取引と投資決定を通じて、市場の動きに乗じて利益を生み出すことを目指しています。
ブロックチェーン技術:どちらも、取引の透明性と安全性を強化する、信頼性の高い取引基盤であるブロックチェーン技術を活用しています。
相違点
シャリーア原則の遵守:ハラール取引と通常の取引との最大の違いは、イスラム教の教義の遵守が求められるかどうかです。ハラール取引は、イスラム金融の原則に従って行わなければなりません。資産の裏付けが重要であり、利息(リバー)を回避し、過度の不確実性(ガラル)を最小限に抑える必要があります。一方、通常の仮想通貨取引ではこれらの要因が考慮されることはないため、ハラームと見なされる恐れがある投機的な取引が含まれる可能性があります。
倫理上の検討事項:ハラール取引では、イスラムの価値観に沿った倫理的な投資、すなわち禁止される業種と無関係のプロジェクトのみが対象になります。しかし、通常の仮想通貨取引では、ハラーム業種への関与を排除していない企業が投資対象になる場合があるため、ハラールの倫理基準を満たさない可能性があります。
規制当局の調査:ハラール取引は、シャリーア法の遵守を徹底するため、イスラム学者による監督を受ける場合が一般的です。通常の仮想通貨取引では、このような追加的な監督は行われず、イスラム教の教義に合致しない可能性がある一般的な金融規制の対象になっています。
最適な仮想通貨ハラール取引戦略
イスラム教徒のお客様は、以下でご紹介するハラール取引戦略を効果的に利用することで、信仰を守りつつ仮想通貨への投資を行えます。
デイトレード
デイトレードとは、同じ取引日のうちに仮想通貨を売買することで、すべてのポジションを市場が閉じる前に決済します。デイトレードでは、短期的な価格変動を利用した利益獲得を目指します。市場が閉じた後まで取引を繰り越さないため、利息(リバー)が発生せず、ハラールと見なされる可能性があります。また、迅速に取引が執行されるため、不確実性(ガラル)が最小限に抑えられる点も、イスラム金融の原則への適合性を高めます。無利息の取引を迅速に行うデイトレードは、仮想通貨市場でハラール取引を実現する方法の1つになり得ます。
スイングトレード
スイングトレードでは、ハラールに準拠する資産のポジションを数日間(または数週間)保有し、予想される価格変動から利益を得ます。資産の保有期間中に利息(リバー)が発生しないスワップフリーアカウントでこの戦略を実行する場合は、ハラールと見なされる可能性があります。この戦略では、過度の投機性を回避してシャリーア原則を遵守しつつ、市場トレンドから利益を得られます。これにより、資産形成の目標、宗教上の信念、倫理的指針を尊重しながら、思慮深く責任ある方法で仮想通貨市場に参加する機会を手にできます。
スキャルピング
スキャルピングとは、1日のうちに多数の取引を行い、各取引から少額の利益を得ることを目指す短期取引戦略です。通常、即時にトランザクションを実施するので、一晩ポジションを保有する必要はありません。そのため、利息(リバー)の支払いを回避でき、ハラールの原則をより厳密に遵守できます。ただし、トレーダーは、スキャルピングによって過度のリスクや投機性が生じないように注意する必要があります。スキャルピング戦略では迅速で規律ある取引が可能なので、イスラム金融の原則を遵守しつつ、仮想通貨市場で効果的に取引を行えます。
ハラール通貨
特別に設計されたシャリーア準拠の仮想通貨(有形資産や倫理的プロジェクトの裏付けのある仮想通貨など)への投資では、イスラム教の教義を確実に守れます。この戦略では、倫理的な投資先を重視し、ハラームと見なされる業種(ギャンブルやアルコールなど)を排除することで、ハラール投資を実現します。シャリーアに準拠する仮想通貨への投資により、成長する仮想通貨市場への参加と、お客様の価値観に沿った金融取引の両方が可能になります。
倫理的なICOとトークン販売
イスラム学者が審査したシャリーア準拠プロジェクトに関するICO(イニシャル・コイン・オファリング)やトークン販売への参加は、ハラール投資の戦略になり得ます。重要なのは、プロジェクトのビジネスモデルと収益源がイスラム教の教義に合致していることの確認です。倫理的な慣行を重視し、ハラームと見なされる業種を排除したICOに投資することで、ご自身の価値観について妥協することなく、革新的プロジェクトをサポートできます。
長期保有(ガチホ)
長期保有(ガチホ)とは、長期的な価値上昇により利益を得るために、長く保有する目的で仮想通貨を購入することです。購入資産が根本的に健全で、イスラム教の教義に準拠している場合、この戦略はハラールである可能性があります。短期的な利益追求ではなく、長期的価値を重視することで、投機的リスクを最小限に抑え、倫理基準に沿って投資を行えます。
終わりに
仮想通貨市場におけるハラール取引は、イスラム教徒のお客様が信条を守りつつ、このダイナミックな世界に参加するための現実的なアプローチです。シャリーア原則に忠実に従いつつ効果的な戦略を活用することで、責任ある方法で仮想通貨に投資し、価値観について妥協することなく資産を形成していけます。仮想通貨分野の拡大が続くとともに、利用できるハラール取引のプラットフォームや教育リソースも充実し、より多くのイスラム教徒の方々がこの心躍る新分野に参加できるようになるでしょう。
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