NFTは死の淵にあるのか、弱気相場に入っただけなのか?
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わずか30秒で記事の内容を把握し、市場の反応を測ることができます。
非代替トークン(NFT)が広く社会に認められるようになり、アートや所有、資産価値に対する私たちの認識が変化しています。しかし、仮想通貨の冬が深まる中、2022年第4四半期には107億ドルだったNFTの市場取引高は、2023年第1四半期には53%減少し、47億ドルへと大きく落ち込みました。現在の市場心理から判断すると、NFTは深刻な弱気相場から抜け出せないように見えます。これは華々しい上昇の前の小休止に過ぎないのでしょうか、それとも悲劇の最終章の幕あいなのでしょうか? NFTは死の淵にあるのでしょうか、単に弱気相場に苦戦しているだけなのでしょうか?
この記事では、NFTの現状とデジタルアートの今後の展望について解説します。
この記事のポイント:
この記事では、NFT取引の心理の分析をとおしてNFTの現状を概説します。
何が売買に関する意思決定を左右しているのかを理解するために、NFT市場に影響を及ぼす主な要因を分析しています。
NFTの利用可能性を踏まえて今後の展望を詳しく検討します。
NFT取引市場の現状を理解する
NFT取引市場はデジタル上の活気に満ちた広大な市場のように感じられるかもしれません。そこでは、OpenSeaやBlurなどのプラットフォームがユニークなデジタル資産の活発な取引の場として機能しています。
OpenSeaとBlurのNFT取引高
NFT取引高には、一定期間のNFT取引の量と額が反映されています。DappRadarが公表しているデータによると、世界最大のNFTマーケットプレイスとして君臨しているのは二次流通市場のOpenSeaです。2023年第1四半期の公表取引高は14億ドルで、NFT取引の先駆者の地位を維持しています。しかし、これも、新規参入者のBlurが計上した27億ドルという取引高に比べると見劣りします。NFT市場シェア1位となったBlurの急成長の要因は、インセンティブプログラム、無料の取引手数料、直感的なインターフェース、提供されているNFTの種類の多さです。
Blurが市場シェア1位を維持できると予想するには時期尚早ですが、この好調な滑り出しを見る限り、NFTマーケットプレイスでの成功が期待できそうです。
NFTの需要:イーサリアム対ソラナ対ポリゴン
NFT市場の主なブロックチェーンプラットフォームは、イーサリアム、ソラナ、ポリゴンです。このそれぞれに固有のメリットとデメリットがあり、それらが各ブロックチェーンでのNFTの需要に影響を及ぼします。
イーサリアムは初のNFT取引プラットフォームで、最も人気が高く、大規模で安定したコミュニティが形成されています。イーサリアムでは、CryptoPunksやBored Ape Yacht Clubなどの人気の高いNFTコレクションが発行されています。
ソラナは比較的新しい挑戦者で、迅速で低コストの取引を可能にするブロックチェーンを特長としています。時折障害が発生するにもかかわらず、急速にイーサリアムに次ぐ位置に浮上しました。イーサリアムよりもはるかに低コストで、迅速に取引を行うことができます。
ポリゴンはイーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションで、取引手数料の低さを重視するNFTプロジェクトにとって魅力的な、取引を低コストで行える選択肢です。しかし、イーサリアムやソラナほど人気はありません。これらのブロックチェーンのうちどれを選択するかは、主に、コスト、スケーラビリティ、セキュリティ、利用可能なNFTプロジェクトを考慮して決定することになります。イーサリアムは首位を守っていますが、ソラナとポリゴンも、手数料の低さと取引の速さを理由として急速に人気を拡大しています。
NFT市場に影響を及ぼす要因とは?
NFT市場に影響を及ぼす大きな要因として、仮想通貨市場全体が挙げられます。NFTの大半はイーサリアム(ETH)のような仮想通貨に紐づけられているからです。そのため、仮想通貨市場の値動きが直接NFT市場に影響するのです。現在のNFT市場の下落は仮想通貨市場全般が弱気相場に入っているためかもしれません。
より広範な経済状況もNFTに影響を及ぼします。たとえば、金利の変化や株式市場の動きによって投資家の行動は左右されるため、NFT市場も影響を受けることになります。消費トレンドも非常に重要な役割を果たします。NFTはまだ比較的新しい概念なので、その普及は社会一般の認知と受容にかかっています。
依然として世界中の政府が仮想通貨とNFTのような関連資産に対する規制のあり方を検討している段階であるため、近い将来新たな法規が制定され、それにより市場の先行きが不透明になる可能性があります。NFT市場はこのような種々の影響を受けるため、今後の進展を予測することはできませんが、間違いなく興味を引かれるものです。
NFTに対する世間の関心は薄れているのか?
利用可能なNFTウォレットの数は2022年1月に最大となったあと減少しており、関心が薄れているように見えます。また、平均価格は2021年4月にピークを迎えた後、下落基調が続いています。
このように関心が薄れているように見えるのは、おそらく、市場が飽和状態になり、投資する価値のある高品質のNFTを探し出すのが難しくなっているためだと考えられます。さらに、NFTが関わる不正行為が報道されたこともあって、人々はNFTへの投資に警戒感を抱いています。
しかし、NFT市場は生まれてまだ間がないので、過度の期待と落胆のサイクルが急速に進みます。現在準備中の期待できそうな新規NFTプロジェクトの多さを考えると、関心が再び高まる可能性は非常に高いとみられます。
NFTにまだ未来はあるか?
当初の投機色の強い過剰な期待が過ぎ去った今も、NFTには明るい未来があります。NFTはデジタル上の商品やアートから枝分かれして生まれたものです。音楽、スポーツ、仮想不動産などの分野でさまざまな用途が見出され、新たな資産カテゴリーが生み出されています。
ゲームの世界では、プレーヤーはNFTという形でゲーム内に資産を所有できるようになり、ゲームの発展とプレーヤーのエンゲージメントへの扉が開かれました。また、イーサリアムレイヤー2ソリューションのようなブロックチェーン技術の進歩により、環境への負荷や取引コストが低減し、NFT利用の敷居が低くなっています。
さらに分散型ファイナンス(DeFi)の進化を通じてNFTの成長を促す環境が形成されており、借入の担保や特定の金融商品の表示など、斬新な用途が拡大しています。
NFTは将来どのような目的に活用できるのか?
NFTにはデジタルの世界での所有権や真正性の証明という独特の利用方法があります。これは、さまざまな業種にわたる無数の革新的な応用につながる可能性があります。たとえば、以下のような利用方法が考えられます。
デジタルな本人確認:NFTをデジタルなアイデンティティとして利用し、オンライン上の交流の安全性と信頼性を高められます。これは不正行為の防止とデジタル取引のセキュリティ向上につながるでしょう。
サプライチェーン管理:NFTをサプライチェーン内の商品の追跡と認証に利用することもできるでしょう。商品にNFTを添付すれば、消費者は商品の認証を確認し、その出所とサプライチェーン内の経路を追跡できます。
分散型ファイナンス(DeFi):独自性のある金融商品や金融資産をNFTという形で作り出すこともできます。これにより、ブロックチェーン上に、NFTを借入の担保や投資割合の表示に使用するなど、金融をめぐる新しい形の関係が生まれるでしょう。
仮想不動産とメタバース:DecentralandやCryptovoxelsのような仮想空間では、すでにデジタルな不動産の所有権を表すためにNFTが利用されています。メタバースの概念は進化し続けているため、仮想の土地、建物などの資産の所有と取引に関するNFTの用途が爆発的に拡大するかもしれません。
知的財産権:特許権、商標、著作権などの知的財産権の所有権を表す手段としてNFTを利用することもできます。これにより知的財産権の売買や管理のあり方が一変しかねません。
ゲーム:Play-to-Earn(プレイして稼ぐ)ゲームモデルでは、プレーヤーがゲーム内で実際に資産をNFTとして所有し、それをゲーム開発者とは無関係に取引したり売却したりできます。その結果、ゲームプレーヤーは自らのスキルにより実際のお金を稼ぐことができるのです。
音楽・エンターテインメント業界:NFTを利用すれば、アーティストやクリエイターはファンに直接楽曲や動画、あるいは独占的なエクスペリエンスを販売し、自らの作品を自ら管理できる度合いを高められます。
今NFTに投資することのメリットとデメリット
NFTへの投資は、ワクワクするような体験になるかもしれませんし、気が滅入るような体験になるかもしれません。しかし、あらゆる投資と同様に、相応のメリットと潜在的な危険が伴います。
メリット
高いリターンが得られる可能性:NFTの中には信じられないほど高いROI(投資収益率)を実現しているものがあります。Beepleの「Everydays: the First 5000 Days」が6,900万ドルで売却されたことは、NFTの価格がどれほど高額になり得るかを物語っています。
所有権:NFTは唯一無二の資産に対するデジタルな所有権の認証を可能にします。これにより、特にデジタルアート、音楽、仮想不動産、ゲームの分野で、新たな機会が生まれます。
分散化:NFTは投資ポートフォリオの分散に役立つ、検討に値する新たな資産クラスです。
クリエイターへの直接的サポート:多くの場合、仲介者が関与する従来の方法に比べて、NFTを購入することでアーティストやクリエイターにより直接的に金銭的支援を届けられます。
デメリット
市場の変動:NFT市場は変動が激しい市場です。価格が急騰することも急落することもあり、重大な金銭的損失が生じるおそれがあります。
流動性の問題:仮想通貨とは異なり、NFTはその独自性のために売却が難しくなる場合があります。その結果、だれも購入したがらない資産を抱えて途方に暮れることになりかねません。
詐欺や不正行為:NFT市場は詐欺や不正行為、盗作に悩まされてきました。被害にあった場合、金銭的損失を被る可能性があります。
環境面の懸念:NFT、特にイーサリアムのブロックチェーン上のNFTは、基盤となるブロックチェーンの合意形成のために膨大なエネルギーを必要とするため、環境に与える負荷が大きいとして非難されてきました。
規制の不確実性:NFTをめぐる規制環境は依然として明確ではなく、急速に変化する可能性があります。そのためにNFTの価値や適法性が影響を受けるおそれがあります。
終わりに
目まぐるしく変動するNFT市場の特徴は、ぞくぞくするような急騰と気が滅入るような急落です。しかし、忘れないでいただきたいのは、NFTという資産には投機色が強いという特徴以外にはるかに多くの特質が備わっていることです。NFTは新たな形態のデジタルな所有権の表象であり、アート、音楽、ゲーム、不動産などの業種でさまざまに応用できます。
ただし、この進化しつつある領域では、用心深く行動することを最も優先するべきです。あらゆる仮想通貨市場と同様に、NFT市場は変動が激しく、詐欺の被害にあう可能性があり、ブロックチェーン上の取引に特有の環境上の懸念があります。そのため、市場に参加する際には十分な情報に基づき、注意深く行動することが非常に重要です。現在の弱気相場をみると、NFTの将来について疑念が生じるかもしれません。一方で、NFTには独自の用途があることを考慮すると、形態は進化し状況は変化する可能性があるとしても、NFTは存在し続けるとみられます。NFTの旅路は始まったばかりです。その旅は刺激的で心躍るものになるでしょう。
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