SushiSwapとは何か?特徴や将来性をやさしく解説
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2020年の夏以降、暗号資産(仮想通貨)の世界では、分散型金融(DeFi)が急速に成長し、過去に類をみない規模、そして発展を遂げました。日々進化するブロックチェーン技術と暗号資産が組み合わさることで、伝統的な金融に革新をもたらしています。イールドファーミングなどの新しい投資手法で利益を生み出すことでも注目されており、DeFi市場の拡大とともにさまざまなプロダクトが誕生しています。暗号資産トレーダーにとって、もはや見過ごすことができないDeFi。その中でも、比較的新しい分散型取引所(DEX)であるSushiSwap(スシスワップ)は、DeFiを象徴する存在と言えます。
DEXとは、特定の事業者が管理する中央集権型の取引所(Centralized Exchange/CEX)とは異なり、主にイーサリアム・ブロックチェーンのスマートコントラクトにより構築されたP2Pのトークンの取引所を指します。その中でも、自動マーケットメーカー(AMM)形式のDEXは、流動性提供者(Liquidity Provider/LP)がトークンをあらかじめ流動性プールに提供し、トークンの交換を希望する参加者は、自らが所有するトークンを流動性プールに加え、流動性プールに蓄積されたトークンを引き出すことにより交換を行う方式です。AMMでは、オーダーブックを介することなく、トレーダーがトークンを直接交換することができるという特徴があります。代表的なのは、Uniswap(ユニスワップ)、SushiSwap、Kyber Network(カイバーネットワーク)などが挙げられますが、今回はUniswapからグループガバナンス構造とDeFi機能を拡張することで派生した、まさに2020年8月にAMMが設定されてDeFiの成長とともに歩むSushiSwapを解説していきます。
SushiSwapとは何か?
前述の通り、SushiSwap(スシスワップ)は、独自のスマートコントラクトを持つ分散型取引所(DEX)および自動マーケットメーカー(AMM)を指します。2020年に「Chef Nomi」によって開発され、イーサリアム・ブロックチェーン上で実行されます。DEXは、仲介者や第三者の要求と干渉を介さず、P2Pで暗号資産を交換し合う安定した市場環境と言えます。DEXは主としてオーダーブック形式のものとAMM形式のものとに分類することができます。オーダーブック形式のDEXは、売買注文のマッチングはブロックチェーン外(オフチェーン)で行い、マッチング後の決済はブロックチェーン(オンブロックチェーン)で行います。これに対して、SushiSwapは独自のAMMを提供することで、取引アルゴリズムを活用して自動的に資産価格が設定され、トレーダーがトークンを直接交換することを実現しています。
Uniswap(ユニスワップ)のフォーク(ブロックチェーンのプロトコルに規定された検証規則を緩和することによって発生するブロックチェーンの分岐)であるSushiSwapは、注目すべきいくつかの機能を有していますが、その中でも最たるものはSUSHIトークンです。SUSHIトークンには2つの目的があります。まず、SUSHIトークンを所有する者は、SushiSwapのガバナンスの権利と資格を持ちます。そして第二に、SUSHIトークンは、プロトコルの支払いの配分を表しています。つまり、SUSHIトークン所有者が、プロトコル全体を「管理」することを意味します。
SushiSwapを含むDeFiの基本概念は、コミュニティによるガバナンスと密接に関連しています。流動性マイニング(イールドファーミング)により交換可能な形式で発行されるトークンは、供給された資金の合計に応じて公平にトークンを分配することで、コミュニティ内の所有者に平等な機会を与えることを目的としています。
このことからも、ガバナンスの権利は、SushiSwapの主要な機能の一つと言えます。流動性報酬として発行されたトークンの内、分配されたトークンに応じて所有者はその権利を獲得します。さらに、SUSHI所有者は、トレーダーによってプロトコルを通じて請求される料金の一定の割合を受け取る資格を有します。SUSHIの場合、所有者は誰でもSushiSwap Improvement Proposal(SIP)を申請することができます。その結果は、SUSHIトークン所有者が投票を行うことで決定します。
このようなガバナンスの手法は、SushiSwapプロトコルが軽微もしくは大幅な変更を受ける可能性があることを示唆しています。SushiSwapの運営と変更は、Uniswapのような既存の組織ではなく、完全にSUSHIトークンの所有者の手に委ねられています。強固なコミュニティがDeFiプロトコルに恩恵をもたらすという基本理念が、SushiSwapを他のDeFiプラットフォームと一線を画する存在たらしめる所以です。
SushiSwapの歴史
SushiSwap(スシスワップ)は発展の基礎を容易に築くために、まずUniswap(ユニスワップ)が使用するオープンソースコードをコピーしました。そして、SushiSwapは、コミュニティ参加者が特別なUniswapプールに資金を入れた場合に、SUSHIトークンを対価として提供するという戦術を実装しました。
SushiSwapの価格変化(出典:CoinMarketCap)
SushiSwapは誕生直後から人々の耳目を集めましたが、実は大きな問題を抱えていました。2020年8月に稼働を開始した際に、DEXとしてのSushiSwapは、プレマイニングを実行しないことを決定したのです。 その代わりに、SushiSwapは、Chef Nomiという偽名の人物または集団によって設立されました。そして、ゼロトークンの供給から始めて、イーサリアムのブロック番号1075万でミントされました。
暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのCEOであるSam Bankman-Fried氏は、2020年9月6日にSushiSwapプロトコルの実質的な管理権限を引き継ぎ、9月9日にSushiSwapをUniswapから独自のコミュニティーであるDEXプラットフォームに完全移行させました。
SushiSwapの機能
SushiSwap(スシスワップ)の背後にあるアイディアと目的は、さまざまな暗号資産を売買できるようにすることで、既存の暗号資産市場をシュミレーションすることにあります。SushiSwapで取引されるトークンは、単一の中央機関ではなく、スマートコントラクトによって維持されます。ソフトウェア上に暗号資産をロックすることができ、流動性提供者(Liquidity Provider/LP)として報酬を得ることができます。また、トレーダーはそのロックされた暗号資産にアクセスすることができるので、取引に利用されることで流動性が確保されています。
SushiSwapファーミング
SushiSwap(スシスワップ)では、SushiSwapのエコシステムをサポートするためにERC-20トークンとステーブルコインの通貨ペアを預け入れることによってイールドファーミングを行うことで報酬を得られる仕組みです。具体的には、イーサリアムウォレットをSushiSwapファーミングプログラムに追加し、2種類の暗号資産(預け入れる通貨ペアがあらかじめ指定されており、その通貨ペアに応じて得られる報酬もそれぞれ異なります)をスマートコントラクトに組み合わせると、流動性提供者はSushiSwapプールに参加できます。たとえば、SushiSwapのUSDT / ETH流動性プールは、USDTとETHの同等の大きさの準備金で構成されています。流動性の買い手はプロトコルのルールに従ってプール内でトークンを交換します。SushiSwapスマートコントラクトは、プール内の価格を安定するために、買い手に対して、同一の価値で通貨ペアを交換することを要求します。つまり、流動性の提供者は、プール内の流動性を維持する見返りに、プロトコルの支払いとともにSUSHIトークンを報酬として受け取ります。
流動性提供者は、いつでも資金と、ファーミングで得られた報酬を償還することができます。受け取ったSUSHIトークンを用いて、さらに暗号資産を取得することを希望する場合は、SushiBarでステーキングサービスに参加できます。SushiBarでは、SUSHIトークンをステーキングすることでxSUSHIコインを獲得することができます。xSUSHIコインは、市場で購入されたSUSHIトークンとその取引手数料の一部で構成されています。
SushiSwapの実用例
SushiSwap(スシスワップ)を利用するには、まずETH(イーサリアム)を入手する必要があります。さまざまな方法がありますが、Bybitでは「暗号資産の購入」機能を活用して、銀行振込やクレジットカードでETHを購入するのが最も簡単な方法です。ETHを購入したら、次にSushiSwapにアクセスします。 SushiSwapにアクセスしたときに最初にできることは、流動性プールを選択することです。 SushiSwapのようなAMMでは、いかなるプロジェクトも検証を行う必要がないため、参加を希望される場合は、事前に各プロジェクトの真偽と将来性を見定めることが不可欠です。そして、ERC-20準拠のウォレットを接続することで、選択した流動性プールに暗号資産を預け入れます。トークンをステーキングすると、SLP(SUSHI Liquidity Provider)トークンを取得できます。プロジェクトの流動性プールが拡大すると、SLPトークンの価値が高まります。これらのトークンをファームすることで、より多くの報酬を獲得することも可能です。
SushiSwapとUniswap
一言で言えば、Uniswap(ユニスワップ)の機能を拡張させたクローンがSushiSwap(スシスワップ)です。 SushiSwapは、Uniswapのフレームワークを採用し、文字通りアップグレードするためにさまざまな機能を追加しました。その第一歩は、Uniswap流動性提供者がSUSHIトークンと引き換えにプールトークンを保存できるスマートコントラクト、Sushi Chefから始まりました。つまり、Uniswap流動性提供者は、プールトークンをSushi Chefに送ることで、Sushi Chefからトークンを報酬として受け取ります。
2020年9月9日に、Uniswapプールトークンを所有する流動性提供者が、Sushi Chefに対して、トークンをUniswapプールから引き出し、Sushi Swapプールに移動させることを許可しました。ヴァンパイアアタック(吸血鬼攻撃)とも称されますが、UniswapはSushiSwapに約10億ドルの流動性を奪われる形となりました。
SUSHIトークンについても違いがあります。 Uniswapは、プールに追加する場合、0.3%の手数料を課していました。SushiSwapは、手数料の0.25%をプールに提供し、残りの0.05%はすべてのSUSHI所有者に分配します。つまり、SushiSwapではトレーダー、手数料の0.25%を獲得する流動性提供者、手数料の0.05%を獲得するSUSHI所有者の3つの異なるプレーヤーが存在します。
共通点としては、双方とも非常に基本的なアルゴリズムを使用して、通貨ペアの交換バランスを自動的に調整します。また、両者とも#DeFiハッシュタグを使用し、イーサリアムエコシステムで稼働しています。
SushiSwapの利点
SushiSwap(スシスワップ)の機能などを踏まえて、ここではその利点について説明していきます。
すべての参加者が享受できる報酬システム
Uniswapは流動性提供者または投資家に手数料0.3%の全額を支払いますが、SushiSwapでは流動性提供者に0.25%を支払う一方で、残りの0.05%はSUSHIに変換され、SushiSwapを通じてトークン所有者に分配されます。さらに、SUSHIトークン所有者は、ファーミング報酬を受け取ることもできます。
プロトコル料金に基づく継続的な収益
SushiSwapは非常に早い段階で驚くべきDeFiブームを起こし、すぐに最も成功したDeFi投資の1つになりました。SushiSwapは、ユーザーがSUSHI建てのプロトコルの料金を徴収し続けるのに役立ちます。また、流動性プロバイダーがサービスを終了したい場合でも、SushiBarを通じてSushiSwapプロトコルの報酬から利益を得ることができます。
流動性
Uniswapスキームは、今日のほとんどのDeFiプロトコルと同様に、流動性提供者がトークンをステーキングする際に、手数料を提供者に報酬として付与します。しかし、流動性の提供を停止すると、報酬を受け取る対象から外れます。一方、SushiSwapの流動性提供者は、プールの一部を所有しており、SUSHIトークンを取得して売るという選択肢があります。
SushiSwapは、流動性提供者もしくはトークン所有者になるインセンティブを参加者に与えます。ただし、上述の利点とは裏腹に、プロジェクトには一定の失敗とリスクが伴います。何よりもまず、SushiSwapは監査や検証が欠如しているとして、多くの批判を浴びてきました。さらに、プロジェクトは匿名性が高く、責任の所在が曖昧なため、参加者の資産保護が十分とは言い切れません。その結果として、SushiSwapも他のDeFi同様に、ハッキングなどの攻撃に晒される可能性はゼロではありません。
まとめ
SushiSwap(スシスワップ)は、流動性プールが生み出す報酬を受け取りながら、暗号資産を円滑かつ効率的に交換することを実現しました。Uniswap(ユニスワップ)という前任者にSushiSwapトークンを融合したことで、参加者はプールから暗号資産を引き出した後でもSUSHIを集めることができ、SushiSwapの運営方法に対して一定の発言権も確保できます。
Sushiswapは誕生直後から不明瞭な資金管理やセキュリティの欠如など、さまざまな問題が指摘されてきましたが、開発者であるChef Nomiの決断によってSushiSwapは分散化を加速させ、参加者は投票を通してSushiSwapの安定性と安全性の向上に取り組んでいます。
SushiSwapは、DeFiに革命を起こしたと言っても過言ではありません。ロックされている価値は、他の多くのDeFiを凌駕しています。今後もSushiSwapは革新的なサービスやプロダクトを提供していく可能性が非常に高く、暗号資産市場のさらなる成長に寄与していくでしょう。
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