戦略的仮想通貨(暗号資産)準備金(備蓄):BITCOIN法と今後の動きに関する考察
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過去1年間で、仮想通貨(暗号資産)は政府高官や政治家の間で以前よりも広く受け入れられ、正当性を得るようになりました。こうした変化による好ましい結果の1つに、戦略的ビットコイン仮想通貨準備金という概念があります。この概念では、従来より政府が保有していた金準備に似た、国家が裏付けとなる価値備蓄機能の確立が目指されています。
この記事では、戦略的ビットコイン仮想通貨の準備金とは何か、トランプ氏による戦略的準備金設立の大統領令、そうした動きに広く政治や市場が受ける影響について考察します。
この記事のポイント:
戦略的ビットコイン準備金設立法案により、ビットコインは金準備と同様に国家が裏付けとなる資産として位置づけられます。
BITCOIN法は、米国連邦政府がビットコイン準備金を導入することを提案するものです。これは、米ドルを安定させ、戦略的に仮想通貨(暗号資産)を保有することによって国家債務を削減することを目指すものです。
トランプ米大統領は、戦略的ビットコイン準備金およびデジタル資産備蓄に関する大統領令に署名しました。
トランプ氏、米国戦略的仮想通貨準備金の大統領令に署名
2024年8月、当時の大統領候補ドナルド・トランプ氏は、米国がビットコイン準備金を保有する案を選挙活動において公に支持し、国家が裏付けとなるデジタル資産は、国家の名声を高めるだけでなく、ますますデジタル化の進む金融エコシステムにおいてバランスを取る重要な役割を果たすと主張しました。
2025年3月2日、トランプ大統領は、ETHやSOL、XRP、ADAといった他の主要な仮想通貨にも対象を拡大する、より広範な戦略的仮想通貨準備金を発表しました。
2025年3月7日、トランプ氏は「戦略的ビットコイン準備金および米国デジタル資産備蓄」を設立する大統領令に署名しました。準備金と備蓄の両方に、財務省が刑事手続きで没収したBTCなどのデジタル資産が含まれることになります。しかし、大統領令では、「公的資金を使用せずにビットコインを追加取得するための財政的に中立な戦略」を策定する可能性についても言及されていました。
市場の反応
市場は当初、3月2日の発表に対してプラスに反応しました。準備金と言及されたすべての通貨に大幅な買いとショートカバーが入った結果、全体的に2桁の上昇を記録しました。たとえば、BTCは12%、ETHは16%、SOLは28%上昇し、XRPは35%と大幅な上昇を記録しました。ADAは発表後、最大の上昇率72%を記録しました。
発表直後の市場の反応は好意的であったものの、仮想通貨コミュニティ内にさえ、ビットコイン以外の他の資産を戦略的仮想通貨準備金の対象に含めることに対し、疑問を呈する著名人がいました。
しかし、3月7日にトランプ氏による戦略的準備金設立の大統領令署名を受け、市場参加者の間に失望感が広がり、BTCは約5.7%下落しました。トランプ氏が任命したAI・暗号資産(仮想通貨)担当長官であるデイビッド・サックス氏は、準備金を「デジタル版フォートノックス(米政府の金保管庫)」と称しましたが、投資家はビットコインやその他のデジタル資産の追加購入がないと予想し、失望しました。
戦略的ビットコイン準備金とは?
戦略的ビットコイン準備金とは、基本的に国家公認のビットコイン準備金を指し、政府が従来より保有する金準備と同様に機能するものです。政府が緊急事態に備え、自国通貨を保護するために金準備を保有することは、一般的な慣行です。金(ゴールド)は、大半の国で外国為替準備の大部分を占めています。以下の表は、2025年2月7日時点で金準備を保有している上位10ヶ国を示しています。
ビットコインは基本的にデジタル版ゴールドとして認識されているため、戦略的ビットコイン準備金の背後にある考え方は、分散型の安全な保管庫システムを構築し、連邦政府がビットコインを備蓄・管理するというものです。連邦政府は、国家準備金の一部をビットコインに割り当てることで、理論上、バランスシートを強化し、インフレ圧力に弱い法定通貨からの分散を図れます。
こうした動きを支持する者は、ビットコインは供給が限られており、また分散型の性質を持つため、ビットコインは価値備蓄機能として効果的であると主張しています。ビットコインが世界的に認識され、機関投資家の関心が高まっていることから、この考え方の信頼性が高まっています。
ルミス上院議員のBITCOIN法
2024年7月、シンシア・ルミス上院議員が「全国的投資最適化による革新、技術、競争力強化」(BITCOIN)法案を提出しました。これは、米国に戦略的ビットコイン準備金を設立することを目的とした立法案です。ルミス上院議員の事務局が発表したプレスリリースでは、法案の重要な要素が次のように概説されています。
分散型の安全な保管庫:この法案では、米国財務省が運営する安全なビットコイン保管庫のネットワークを構築するよう求められています。
ビットコイン供給量の5%を取得:この法案では、所定の期間に100万ビットコイン(総供給量の約5%)を段階的に購入することが承認されています。このビットコイン取得戦略は、米国の金準備規模を反映したものです。
資金調達メカニズム:ビットコイン取得プログラムでは、連邦準備制度と財務省内の既存の資金が転用されて資金調達されるため、名目上は納税者の負担増が回避されます。
ビットコインの将来における戦略的準備金の意義とは
戦略的ビットコイン準備金という案は革新的であり、ビットコインを活用して国家のバランスシートを改善することを目的としています。この案はビットコインと国家双方にとってメリットとなります。ビットコインは認知度が高まり、一方、国家は金(ゴールド)よりも優れたリターンを生む可能性のある資産を保有することになるためです。
米国政府が即時にビットコインを取得することはありませんが、準備金の設立によって、米国政府保有の約20万BTC(約174億ドル)には売り圧力がかからないと示唆されています。しかし、米国政府が納税者に負担をかけずBTCを追加取得する戦略を、他に導入するかどうかはいまだ不透明です。
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