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「押し目買い」という言葉は、皆さん聞いたことがあるでしょう。仮想通貨(暗号資産)が爆発的人気となって以来、多くの仮想通貨が急騰し、強力な上昇トレンドが形成されました。そのような状況になると、投資家はFOMO(出遅れ恐怖症)に陥り、高値でも買い向かおうとすることがあります。しかし、価格が一時的に下落する調整局面も発生します。これを買い機会ととらえれば、仮想通貨を安く仕込むことができます。それが押し目買いです。
押し目買いにはリスクもあります。小さな押し目に見えたものが、大規模な暴落の始まりにすぎない可能性もあるためです。ビットコイン(BTC)の場合、相場の急落は珍しいことではなく、過去には75%以上も暴落した事例があります。そうなると、押し目買いに対する反論も生まれてきます。押し目買いは最善の戦略なのでしょうか?その点について詳しく考えてみましょう。
「押し目買い」とは、金融資産の価格が下落したタイミングで購入することです。資産価格の下落を「押し目」と呼ぶことがあります。これは直近の高値より値下がりしている状態を表します。市場が長期的な上昇トレンドにある場合、こうした「押し目」は、株式や仮想通貨を割安な価格で買い増せる機会となります。その後、市場が回復して新高値をつけると、押し目で買い増した資産が利益を増やすことになるのです。
押し目買いは一般的な取引戦略であり、ほとんどの金融資産で利用されています。ビットコインの場合、押し目買いは特に人気のある戦略です。仮想通貨のトレンドは、極めて長期的で強力になる傾向があるため、買いの好機をとらえることは容易ではありません。その結果、割高な価格レベルで買ってしまう場合が多いのです。押し目が現れるのを待てば、割安な価格で買える機会が得られ、割高に購入した場合よりも多くの仮想通貨を入手できることになります。
押し目買いは、株式、コモディティ、先物、FX、仮想通貨など、あらゆる金融市場で行われています。しかし、仮想通貨市場で押し目買い戦略を採用する場合には、他の金融市場と異なる点もあります。
一般に、仮想通貨市場のトレンドは他の金融市場より勢いが強く、ボラティリティも大きくなります。そのため、仮想通貨の押し目は、他の金融市場より大きな調整局面として出現する場合があります。
例として、2021年の仮想通貨市場を見てみましょう。ビットコインは年初から価格が倍増する勢いとなりました。上昇トレンドが続く中で、押し目は18~31%と比較的小幅にとどまりました。しかし、2021年夏に価格が6万4,000ドルに達すると市場は急落し、最終的には55%の暴落となりました。
これが仮想通貨の押し目買いにおける最大の問題点です。価格が20%下落したのを見て、それを調整と考えて押し目買いをしても、最終的には50%を超える暴落に見舞われるかもしれません。長期ガチホ勢は、仮想通貨がまだ普及の初期段階にあり、押し目買いをすれば所有通貨数を増やせると考えています。価格が大幅に上昇すれば、人生を一発逆転できるほどの利益が生じる、というのがガチホ勢の考え方です。
ビットコインの押し目は、不安定な政治状況、規制の実施、コミュニティの影響など、さまざまな理由により生じます。たとえば、世界経済に変動が生じると、ビットコインへの投資は後退します。2020年のコロナ禍では商取引が停滞し、企業や経済は活動停止に追い込まれました。将来の雇用に不安を感じた人々は、資産価格の下落を予想して、投資を引き上げました。
ニュース報道が短期的な押し目を生む場合もあります。中国政府は2021年にビットコインのマイニング業者に対する規制を強化し、中国国内でのマイニングを違法化しました。その結果、ビットコインノードの大半が、閉鎖されるか、国外移転を余儀なくされました。それにより、取引を検証するノードが減少し、ビットコインネットワークの安全性は低下しました。
資産価格の調整は、単なる買われ過ぎが理由で発生する場合もあります。テクニカルな価格調整の発生が近いかどうかについて、判定するテクニカル指標が複数あります。その1つが、「弱気の乖離」(ベアリッシュダイバージェンス)を表示するものです。
2021年のビットコイン市場では、4月の高値に際してテクニカルな価格乖離が発生していました。高値の切り上げは続いていましたが、相対力指数(RSI)は高値が切り下がることを予想していました。上昇トレンドが長期間続いた場合などにおいては、RSIの乖離があると価格調整が発生する可能性があります。押し目買いを考えていて、このシグナルを目撃した場合は、価格がさらに下がるのを待って買い増す方法が有効です。
仮想通貨界隈では、下げ相場の心理状態を「FUD」と呼んでいます。恐怖(Fear)、不透明感(Uncertainty)、懸念(Doubt)の頭文字をとったスラングです。仮想通貨について、適切な投資対象とは考えていない人は、まだたくさんいます。その理由は、長期的なキャッシュフローによる検証が行われていないことや、仮想通貨ネットワークの価値を評価する方法が確立されていないことです。そうした状況により「FUD」が生まれ、投資家は自信を失って、ビットコインを売ろうと考えるようになるのです。
一部のアルトコインについては、押し目買い戦略が有効です。規模が十分に大きく、時価総額で上位20位以内に入っている少数のアルトコインは、押し目買いの対象となり得ます。それらのアルトコインには、多数の買い手と売り手が存在して均衡を保っており、大きな価格の動きが生じる可能性があるためです。
残念ながら、時価総額の小さいアルトコインで押し目買いを行うと、悲惨な結果を招く恐れがあります。小規模なアルトコインはリスクが大きいうえに、不正行為やコンプライアンスリスクの影響を受けやすく、価格のボラティリティも過大です。そのため、価格が暴落したまま回復しない場合があります。投資家はそのようなアルトコインに多額の資金を配分しないよう注意する必要があります。
「買い急ぎ」は押し目買いに似ていますが、対照的です。英語では買い急ぎのことを「Catch a Falling Knife(落下中のナイフをつかむ)」と表現します。つまり、市場が暴落しており大底にはまだ遠いにもかかわらず、買ってしまうことを表しています。高いところから落ちてくるナイフをつかもうとすると、手を切って大けがをする可能性があります。ナイフが地面まで落ちれば、けがをせずに拾えるのですから、わざわざリスクを冒して途中でつかもうとする必要はありません。
相場の暴落時にも同じことがいえます。価格の下落を目にすると、反騰を期待して買いを決断することがあります。しかし、実際の反騰は何ヶ月あるいは何年も先まで起こらないかもしれません。2018年の大暴落では弱気相場が11ヶ月も続き、価格は85%も下落しました。それに巻き込まれた投資家は、買い急ぎ現象についてよくわかっているでしょう。
押し目買いと買い急ぎの大きな違いは、押し目は比較的小さな下落であり、大きな上昇トレンドの中に位置づけられるという点です。仮想通貨市場では、20~40%の一時的反転(リトレースメント)が普通に起こります。
一方、「買い急ぎ」とは、価格が急速に大きく下落して、暴落状態へと向かう途中に買ってしまうことです。
押し目買いは、市場のタイミングが非常に重要となる手法です。広く使われている戦略が2つあります。その1つはチャートに支持トレンドラインを引くことであり、もう1つはRSIなどのオシレーター系指標を用いてターニングポイントを特定することです。
まずトレンドラインから説明します。市場が強力な上昇トレンドにある場合は、共通のスイングロウを特定し、それらをトレンドラインでつなぎます。このトレンドラインを右に延長すると、現在の市場価格より下になるはずです。
その後、価格調整が発生した場合は、価格が支持トレンドラインに接した際に買い出動できるよう待機します。ただし、全体のトレンドとしては、新高値を目指しています。強力な上昇トレンドの中でも調整は頻繁に発生するため、この手順は何度も繰り返すことになる場合があります。
上のビットコインチャートでは、2021年1月から4月にかけて支持トレンドラインを引くことができます。ビットコイン価格がトレンドラインまで下落している調整局面が何度かあり、これが買いの好機となります。
トレンドラインはずっと上昇を続けるわけではありません。価格がトレンドラインをブレイクした(下回った)場合は、大きな調整が発生する予兆であり、暴落となる可能性もあります。
押し目買いでよく利用されているもう1つの戦略は、売られ過ぎのオシレーターが日中チャートに出現するのを待つことです。ビットコインが日中チャートで強力な上昇トレンドにある場合は、4時間チャートまでスクロールダウンして、RSIなどのオシレーターを追加します。
RSIは幅広い用途のある指標で、資産が売られ過ぎであることを特定できます。RSI指標のシグナルからは、調整が終了しつつあり、買い機会が到来したと判断できる可能性があります。
上のビットコインチャートでは、売られ過ぎ状態のシグナルをRSIが発している例が複数見られます。これは相場上昇が始まりつつあることを意味しています。このシグナルを利用すれば、新高値を目指す中で、押し目買いをすることが可能だったでしょう。
RSIのようなツールを使用する際の問題は、もしビットコインが暴落すれば、下落途中であっても、売られ過ぎとして買いシグナルが出てしまうことです。そのため、RSIが最大限に効果を発揮するのは、市場の上昇トレンドが継続していることを確信できる場合といえます。
「押し目買い」という言葉自体には具体的な内容がありません。実際の取引では、上で説明したのと同じような戦略を具体的に想定する必要があります。つまり、押し目買いを成功させるには、テクニカル分析により市場のタイミングをとらえることが必要です。そのような目的で利用できるオシレーターは、他にも多数あります。
上で説明したような戦略について検討するには、ビットコイン自体が強力な上昇トレンドにあることが大前提となります。上昇トレンドが強力であるからこそ、短期的な調整から回復できるのです。上昇トレンドに勢いがない場合は、価格が調整前の水準まで戻るかどうかも危うくなり、押し目買い戦略のリスクは高まります。
最悪の状態は、ビットコインが下落トレンドにある場合です。ブルトラップ(何らかの水準を上抜けした直後に下落基調に転じること)に陥って、損失を抱えることになり、押し目買いはうまくいきません。
ドルコスト平均法(DCA)とは、購入の金額と間隔をあらかじめ決定し、その予定に従って資産を購入することをいいます。たとえば、毎月第1金曜日に500ドル分のビットコインを購入するといった方法です。
DCAと押し目買いの主な違いは、DCAではビットコイン価格に関係なく、予定に従って購入するという点にあります。それに対して、押し目買いはビットコイン価格に完全に依存しており、新たな上昇相場に向けて買い出動するタイミングを正確にとらえることが必要です。
そのため、DCAと押し目買いのどちらを選ぶかについては、テクニカル分析や強気反転タイミングの把握に関するお客様自身のスキル水準を考慮してください。DCAは購入予定を決めるだけで済み、特別なスキルは必要ありません。押し目買いを行うにはテクニカル分析を理解している必要があり、しかもそれを正確に実行する能力が求められます。
買い参入の時期を見極める訓練がもっと必要だと感じている場合は、初心者向けのDCAを検討してください。
ビットコインの押し目買いを実際に行おうとすると、いくつかのリスクに直面することになります。
その大半は、分析の失敗に関するリスクです。押し目買いを成功させるには、最適な市況を選ぶ必要があります。市況を見誤ると損失を被る可能性が高まります。
また、押し目買いを実行する場合は、ルールベースの戦略を採用して、ポジション開設時期を判断することが必要になります。ルールに基づかない戦略を用いたり、ルールを無視したりすれば、損失を被る可能性は高くなります。
また、仮想通貨市場はボラティリティの高さが特徴です。そのため、たとえばビットコインが下落している場合に、それが小さな調整なのか、大規模な暴落の始まりなのかを判別するのは簡単ではありません。もし後者であった場合は、暴落の早い段階でビットコインを購入してしまい、多額の損失を抱える可能性があります。この10年で、ビットコイン価格が75%以上も暴落した例は少なくないのです。
長期投資家は押し目買いという言葉をよく使いますが、その言葉自体が具体的な戦略を表しているわけではありません。そのため、小さな調整局面での売買について、ルールを自分なりに考案することが必要となります。
現在の市況をよく考慮したうえで行うならば、押し目買いは優れた戦術となり得ます。ただし、市況を見誤ると暴落の初期段階で買ってしまう恐れがあり、その場合は損失を抱えることになります。他の取引戦略と同じく、市況をよく把握し、各種ツールによるテクニカル分析の経験を身に付けたうえで、押し目買いを実行するのが最善でしょう。